花粉症の症状を改善しようと食事や環境を工夫して手を尽くしたものの、決定的な効果が見られない場合の最終手段として外科手術が候補に挙がります。
手術というと何やら怖い印象がありますが、花粉症手術は決して大手術ではなく、手術の種類にもよりますが時間も数分~数十分で完了するものばかりです。

花粉症の外科手術は主に鼻づまりの解消を目的としており、「レーザー治療」「アルゴンプラズマ凝固法」「鼻中隔矯正術」の3種類の手術の特徴や費用について紹介します。

レーザー治療の詳細と費用

鼻の中には、鼻甲介(びこうかい)という骨性の構造物があり、その表面は粘膜で覆われています。
鼻の穴から吸気された外の冷たい空気を暖めたり粘膜繊毛で埃を捕らえたりと、エアコンや空気清浄機の役目を果たすのが、この鼻甲介なのです。

鼻甲介には、上から「上鼻甲介」「中鼻甲介」「下鼻甲介」と3種類あり、鼻の穴に最も近い位置に存在するのが下鼻甲介です。
花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎で鼻詰まりの症状が発生している時は、下鼻甲介が炎症を起こして腫れあがっているのです。

腫れによって気道が狭まっていると、鼻呼吸がかなり苦しくなります。
酷い時は鼻から全く空気を吸えない場合がありますが、その時は腫れが気道を完全に塞いでしまっているのです。

正常時の下鼻甲介は こちらの画像 のように鼻の内壁との間に隙間があるのですが、炎症を起こしていると こちらの画像 のように腫れあがり完全に塞いでしまうのです。
これでは鼻呼吸ができないわけです。

レーザー治療というのは、レーザーで下鼻甲介の粘膜を焼くことによって隙間を作り、鼻づまりを解消しようという手術なのです。

レーザー治療の流れと効果

レーザー治療の流れは下記のようになります。

  • 麻酔薬を染み込ませたガーゼを鼻の穴内部にしばらく入れておき、局所麻酔とする。
  • レーザー射出装置を鼻の穴から挿入し、下鼻甲介表面の粘膜全体をレーザー光線でじっくりと焼く。

レーザーで焼かれた粘膜は、通常のやけどをした時と同様に固まって縮まるため、鼻の穴の気道が確保されるという仕組みなのです。
レーザー光線によるやけどによって粘膜が乾いた状態になるので、花粉がひっつきにくくなるという副産物的効果も発生します。

花粉がひっつきにくくなるという事は、花粉が体内に侵入しやすくなるという事で抵抗があるかもしれませんが、それを考えるのはナンセンスです。
なぜなら、そもそも鼻がつまって口呼吸をしている状態だと、全ての花粉が体内に入っているわけなのですから。

レーザー治療の費用・メリット・デメリット

レーザー治療は耳鼻科で施術してもらう事ができます。
気になるお値段ですが、保険適用で10000円くらいからとなっています。

メリットは

  • 手術時間は30分程度なので日帰り手術が可能で、入院する必要が無い。
  • 下鼻甲介が腫れる現象が発生しなくなるため、鼻づまりがほぼ解消される。

デメリットは

  • 粘膜は再生されるため、効果がある期間は短ければ1年。長くても3年程度。
  • 手術後は鼻の中にやけど特有のヒリヒリ感があったり、一時的に鼻詰まりが悪化する。
    しかしいずれも1週間もあれば無くなる現象です。

アルゴンプラズマ凝固法

アルゴンプラズマ凝固法は、レーザー治療と同様に下鼻甲介表面の粘膜を焼く事で、同等の効果を発揮する手術です。
違いは焼き方でして、高周波電流(プラズマビーム)によって粘膜細胞を変性・凝固させる事によって下鼻甲介の腫れを抑えるのです。

手術前にはレーザー治療と同じように、鼻内部のみに部分麻酔を施します。

アルゴンプラズマ凝固法の費用・メリット・デメリット

アルゴンプラズマ凝固法にかかる金額は健康保険を適用すると1~2万円程度で、レーザー治療同様に意外に安いのです。

メリットは

  • レーザー治療の焼き方は「点」だがこちらは「面」で焼くため、均一にムラなく焼く事ができるうえ、わずか数分という短い手術時間。
  • 鼻づまりがほぼ解消される。
  • レーザー治療と違い、手術直後から快適な状態。

と、レーザー治療よりメリットが多いのです。

デメリットはレーザー治療と同じで、粘膜が再生されるまでの1~3年しか効果が持続しないという事です。

鼻中隔矯正術

最後に鼻中隔矯正術という、永続的な効果がある手術について説明します。
これは鼻の曲がりを手術で矯正して鼻の通りを良くするという方法です。

鼻中隔(びちゅうかく)とは、その名の通り鼻を中を左右に仕切って隔てている壁で、通常の骨と軟骨で形成されていて、表面は粘膜で覆われています。

ご自身の鼻や他人の鼻をよく見ると相当の人が鼻筋が曲がっているのが確認できると思いますが、この原因は鼻中隔が曲がっているからなのです。
程度には個人差がありますが、成人の80%くらいが曲がっているとの事です。

曲がる理由は、成長過程において骨よりも軟骨の方が発達しやすいため、ひずみが生じて湾曲してしまうからです。

少しの曲がりだと日常生活に支障はないのですが、曲がりが強いと鼻炎の症状が出ていない時でも鼻づまり状態になります。
平常時の鼻呼吸において「スピ~スピ~」と、まるで笛のような音を立てる人がいますが、鼻中隔の湾曲度合いが強くて気道が狭くなっているのでしょう。

また「く」の字のように極度に曲がっている場合だと、いびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こす事もあります。

そこまで酷くない場合でも、花粉症による炎症で鼻内部の粘膜が腫れてしまうと、気道が狭くなり鼻づまりが悪化してしまうのです。

逆に考えると、鼻中隔を手術で矯正すれば花粉症による鼻づまりの程度を抑える事ができるし、全く鼻詰まりが発生しなくなる可能もあるのです。

鼻中隔矯正術の詳細

手術の流れとしては

  • 鼻のみに局所麻酔を施す。
  • 曲がっている方の鼻の穴内部の、鼻中隔粘膜を切開。
  • 曲がりの原因となっている、発達しすぎた軟骨の一部を除去する。
  • 切開部を縫合して完了。

です。
画像で表すと こちら の画像が分かりやすいです。

原因の軟骨を除去する事により鼻中隔がまっすぐとなり、理想的な鼻の通りとなるのです。

鼻中隔矯正術の費用・メリット・デメリット

メリットは

  • 手術時間は1時間かからず、前後を含めても3~4時間程度なので日帰りが可能で、入院の必要がない。
  • 効果が永続的。
  • 口呼吸と無縁になり、鼻炎のみならずイビキや睡眠時無呼吸症候群の対策にもなる。
  • 下鼻甲介のサイズを小さくする手術と併用する事ができるので、総合的な対処にもなる。

デメリットはこれといってないです。

費用は保険適用で3~4万円程度と、生活を圧迫しない程度に払う事ができる範囲です。

意外にお手軽な花粉症対策手術

3種類の花粉症対策手術を紹介しましたが、いずれも日帰りで費用も安価と意外とお手軽なものばかりです。

特に鼻中隔矯正術は、一時的な対処療法ではなく根本療法であり、健康維持のための鼻呼吸を促進するという意味で非常に有意義なのではないでしょうか。
鼻筋が真っ直ぐになり、ルックスもアップするという効果もありますし。

それだと美容整形みたいだと抵抗があるかもしれませんが、異物を挿入するのと違い、元々自分の体の一部な部位を除去するだけですので気にする事もないと思います。